2024年1月2日火曜日

石田吉貞『隠者の文学』講談社学術文庫

 FIRE系の動画や書籍を読んでいる。また、年齢を上になるにつれ、自分と社会の距離感なども気になる。本書は、以前から読んで気にいったいた中野孝二『清貧の思想』と同様の思想の書籍である。

石田吉貞『隠者の文学』講談社学術文庫


隠者と隠者文学、隠遁、西行、長明、兼好、連歌と話しが進む。
隠者文学といっても、西行の関心は自然にあり、長明の関心は自分の閑寂で自由な生活にあり、兼好の関心は人間にあるという。
平安初期の隠者は、僧侶が多く、宗教への信仰のため隠遁生活にはいった。信仰一途の隠遁形式で、その生活はすさまじく、人間的な生活を遺棄したものになった。時代を経て、信仰とともに美的な要素が取り入れられ、美的隠遁ともいうべきものが生まれてきた。信仰と美の2本立ての隠遁形式である。
 美的隠遁の到達点として、閑寂な生活、さび系の美の把握、美的安心とする。
美的隠遁生活の到達的の1つは、閑寂である。
「閑寂とは、閑(しずかさ)、自由、美、宗教的真実から成立する。」
「このようにして、隠遁における閑寂は、世にも稀なよき生活として打ち立てられた。閑かして、適当なるさびしさや悲しみをもち、大空の雲のような自由があれば、一方には、宇宙のあわれを感ずるほどの繊細な美をもち、しかもその底には、つねに永遠への思念や絶対への祈りがあった。」



「しかし、閑寂に限界があった。...閑寂がいかによき生活であっても、しかし、畢竟遊びだであり、そのなかに安んじては、永遠や絶対に参する生命の真実は得られない。」   
そこで隠遁者は隠遁の中にいつつも、その外にでようとした。それが、信仰と美の追求となった。                                      
 隠遁者は、激しい孤独と中世的な無常観により深刻な苦悩を負うこととなる。そのとき、一人の天才が、そのような苦悩を超凡な美の把握がすべての苦悩を解決することを予見した。西行はそのような天才であった。そして、そのような美をもとめて、生涯を詩の漂白に送った。
心なき身にもあわれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ

「津の国のなにわの春は夢なれや蘆の枯葉に風わたるなり」

さび系の美は、孤独と無常にさいなまれる隠遁者が命がけで把握したものだが、この美には複合的に把握したものである。第1に隠遁者には周囲の自然が、「さびしき美」として受け止められていた。「さびし」は一つの深い美である。西行にはそのようなさびしき美の歌が無数にある。水の音、ひぐらしの音、一つ一つが魂をかきむしるほどのさびしき美であった。
第2に目に触れる自然が限りない無常の美として捉えられた。散る花、落ちる葉、一事一物に無常を感じる。
「このさびしき美と無常の美が一つになるとき、個物の上に、すなわち一木一草の上に、何とも言えない深い美が感じられる。道端の秋草、空行く雲、廃園の落葉、夕暮れの雨、それらに限りない無常寂寥の美が感じられ,詩美をもつ隠遁者は、それだけでもある点は孤独の苦痛を忘れ、多少なりとも魂の平安を取り戻すことができただろう。」
しかし、これだけは、さび系の美は生まれない。
しかし、隠遁者は、無常観を抱き、絶えず、万有・永遠・存在を思い、この世の真の姿や万有の真の姿を思い、生死の行方や歴史の行方を思った。もし、個物の中に無常やさびしさを感じる美の中に、永遠や万有の姿を感じることができるならば、信仰と美の一致が深い美の底において完成するからである。












2023年9月4日月曜日

服部正也著『ルワンダ中央銀行総裁日記』中央新書

 『46歳にてアフリカの小国ルワンダの中央銀行総裁に突然任命された日銀マンが悪銭苦闘しながら超赤字国家の経済を再建しつつ国民の生活環境を向上させた嘘のような実話。』

日頃、機械学習関連やSF系が多いので、このようなスケールの大きい仕事の本を読むことも面白い。1965年とかなり昔だが、明晰な著者の話は古さを感じさせない。この本を読むきっかけは、エンジニアのブログで『文章が美しい』と感想があったためである。

 ルワンダ国民の農業生産を主とする収益とし、外国人居住者に有利な経済制度や通貨制度をあらため、ルワンダ国民のための経済体制を築いていく。

経済への立て直しの基礎を築き、最期にルワンダ人自身が国を動かしていくべきという信念のため総裁の地位を去っていく。

送別会の席上で、大統領の懺悔師から

『我々外国人に対して、あなたが教えてくれたことは、ノーといってもルワンダ人と友達になれるということです。あなたはたびたびノーと言いいましたから。』

と言われる。

その後、ルワンダは飛躍的な経済発展をとげたが、1994年のルワンダ動乱で多数のルワンダ人が殺され、知人の政治家も殺されていく....


ルワンダ中央銀行総裁日記 [増補版] (中公新書)

2023年4月19日水曜日

chatgptへの問いかけ:作家の文章の特徴

 Q:ミラン・クンデラの文章の特徴を書いて。

A:

ミラン・クンデラはチェコ出身の作家で、20世紀を代表する文学者の一人です。彼の作品は独特の特徴があり、以下にその主なものを挙げます。

  1. 哲学的思考: クンデラの作品は深い哲学的な考察が盛り込まれており、人間の存在や個人のアイデンティティなどを探求しています。彼は物語を通して、読者に哲学的な問題を考えさせるような文章を書くことが得意です。

  2. 風刺とユーモア: クンデラの作品には風刺的な要素が多く含まれており、政治や権力、愛や性など、さまざまなテーマを扱っています。また、彼の文章はユーモアに富んでおり、笑いを誘いながらも読者に考えさせる力があります。

  3. 複雑な登場人物: クンデラの小説には多くの登場人物が登場し、彼らはそれぞれ独自の哲学や背景を持っています。彼は登場人物の心の葛藤や内面を丁寧に描写し、読者に共感や理解を促すような文章を書きます。

  4. 音楽的なリズム: クンデラの文章は音楽的なリズムがあり、言葉の選び方や文章の構成が美しく調和しています。彼の作品は詩的な要素が強く、読者に心地よい読書体験を提供します。

  5. 時代背景: クンデラの作品はチェコや東欧の歴史や文化を背景にしています。彼の作品は時代を超越した普遍的なテーマを扱っていますが、作品の舞台や登場人物の背景にはチェコや東欧の特徴が反映されており、その独特の雰囲気を味わうことができます。

これらの特徴により、ミラン・クンデラは独自の文学スタイルを確立し、世界中の読者から高い評価を受けています。


Q:クンデラに匹敵する哲学的な文学者は?

A:

ミラン・クンデラに匹敵する哲学的な文学者は、数多くいますが、以下にその中からいくつかの代表的な作家を挙げます。

  1. フョードル・ドストエフスキー (Fyodor Dostoevsky) - ロシアの作家で、『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』などの作品で知られています。彼の作品は、道徳、信仰、人間の心の葛藤といった哲学的なテーマが深く掘り下げられています。

  2. アルベール・カミュ (Albert Camus) - フランスの哲学者であり作家で、『異邦人』『ペスト』などの作品で知られています。カミュの作品は、存在主義や不条理をテーマにしており、人間の孤独や自由などの問題を扱っています。

  3. ジャン=ポール・サルトル (Jean-Paul Sartre) - フランスの哲学者であり作家で、『嘔吐』『自由の道徳』などの作品で知られています。サルトルは存在主義の代表的な人物であり、人間の選択や責任について考察しています。

  4. ハーマン・ヘッセ (Hermann Hesse) - ドイツの作家で、『シッダールタ』『デミアン』『ガラス玉遊戯』などの作品で知られています。ヘッセの作品は、東洋哲学や心理学を取り入れた独特の世界観が展開されており、自己探求や精神的成長をテーマにしています。

  5. フランツ・カフカ (Franz Kafka) - チェコ出身のドイツ語作家で、『変身』『審判』などの作品で知られています。カフカの作品は、現代社会の官僚制度や人間の孤独、無意味さを描いており、独特の不条理な世界観が展開されています。

これらの文学者たちは、ミラン・クンデラと同様に、哲学的なテーマを深く掘り下げた作品を通して、読者に考えるきっかけを与えています。

Q:トゥルニエの文章の特徴は?

A:

ミシェル・トゥルニエ(Michel Tournier)は、フランスの作家であり、20世紀の文学界において重要な地位を占めています。彼の作品には独自の特徴があり、以下にその主なものを挙げます。

  1. 寓話的な物語: トゥルニエの作品は、寓話や神話の要素を取り入れた独特の物語が展開されています。彼は古典的な物語を現代的な解釈で再構築し、新たな視点から物語を捉えることで、読者に考えさせる力があります。

  2. 深い哲学的思考: トゥルニエの作品には、人間の存在や個人のアイデンティティ、善悪の相対性など、深い哲学的なテーマが盛り込まれています。彼は物語を通して、読者に哲学的な問題を考えさせるような文章を書くことが得意です。

  3. 豊かな描写力: トゥルニエの文章は、情景や登場人物の心情を豊かに描写する力があります。彼の描写は緻密でありながらも詩的であり、読者の想像力を喚起する力があります。

  4. 文化や歴史への言及: トゥルニエの作品は、文化や歴史への言及が多く見られます。彼はさまざまな時代や文化の背景を取り入れることで、物語に深みを持たせ、読者に知的な興味を喚起します。

  5. 人間の内面世界: トゥルニエの作品では、登場人物の内面世界に焦点を当てています。彼は登場人物の心の葛藤や変化を丁寧に描写し、読者に共感や理解を促すような文章を書きます。

これらの特徴により、ミシェル・トゥルニエは独自の文学スタイルを確立し、多くの読者から高い評価を受けています。彼の代表作には、『金曜日あるいは太平洋のリンボ』『魔王』などがあります。

Q:ル・クレジオの文章の特徴を説明せよ。

A:

ジャン=マリ・グスターヴ・ル・クレジオ(J.M.G. Le Clézio)は、フランスの作家であり、2008年にノーベル文学賞を受賞しました。彼の作品には独自の特徴があり、以下にその主なものを挙げます。

  1. 多様な文化の融合: ル・クレジオの作品は、さまざまな文化や言語、宗教の要素が混在しています。彼自身が多くの国を旅して経験した文化の違いや、異文化の理解を作品に反映させています。

  2. 現代社会への批判: 彼の作品には、現代社会における権力や搾取、文明の暴走に対する批判が込められています。それらのテーマを通して、人間の欲望や矛盾を描いています。

  3. 自然への回帰: ル・クレジオの作品では、自然や原始的な生活への憧れが強く表現されています。彼は自然の美しさや神秘性を緻密な描写で表現し、現代社会からの逃避や自然との調和を求める思いを描きます。

  4. 詩的な語り口: 彼の文章は、独特のリズムや音楽性があり、詩的な表現が豊富です。その言葉選びや文体は、読者に心地よい読書体験を提供し、彼独自の世界観へと引き込みます。

  5. 登場人物の心理描写: ル・クレジオの作品では、登場人物の内面世界や心理に焦点が当てられています。彼は登場人物の感情や葛藤を丁寧に描写し、読者に共感や理解を促すような文章を書きます。

これらの特徴により、ジャン=マリ・グスターヴ・ル・クレジオは独自の文学スタイルを確立し、世界中の読者から高い評価を受けています。彼の代表作には、『砂漠』『戦争』『儀式の後』などがあります。

Q:ポール・オースターの文章の特徴は?

A:

ポール・オースター(Paul Auster)は、アメリカの作家であり、現代文学の重要な人物の一人です。彼の作品には独自の特徴があり、以下にその主なものを挙げます。

  1. 複雑な物語構造: オースターの作品は、複雑な物語構造や入れ子状のストーリーが特徴です。彼は一つの物語の中に複数の物語を組み込み、読者に意外な展開や驚きを提供します。

  2. 自己言及性: 彼の作品には、作家や物語自体が物語の中に登場することがよくあります。この自己言及性は、現実と虚構の境界を曖昧にし、読者に物語の真実性を問いかけます。

  3. 偶然と運命: オースターの作品では、偶然や運命が重要な役割を果たしています。彼は偶然の出来事や運命的な出会いを通して、人間の人生における不確実性や不可解さを探求しています。

  4. 探求心と自己探求: 彼の作品は、主人公の探求心や自己探求の旅が描かれています。登場人物は自分自身や他者、社会との関係性を問いながら、成長や変化を遂げる様子が描かれています。

  5. 明快な文体: オースターの文章は、明快でシンプルな文体が特徴です。その分かりやすさと緻密さによって、物語の雰囲気や登場人物の心情が的確に伝わります。

これらの特徴により、ポール・オースターは独自の文学スタイルを確立し、多くの読者から高い評価を受けています。彼の代表作には、『ニューヨーク三部作』や『ムーン・パレス』などがあります。

Q:ゴダールの作品の特徴は?

A:

ジャン=リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)は、フランスの映画監督であり、新しい映画の表現方法を開拓した「フランス新浪潮」の中心人物の一人です。彼の作品には独自の特徴があり、以下にその主なものを挙げます。

  1. 映画の構造を壊す手法: ゴダールの作品は、従来の映画の構造や物語を壊す独自の手法が使われています。編集の連続性を無視したカットや、画面の中での文字の使用、そしてストーリーの非線形性が特徴です。

  2. 引用とオマージュ: ゴダールは、他の映画や文学、哲学、音楽などの作品からの引用やオマージュを多用しています。彼はこれらの引用を組み合わせ、独自の映画言語を構築しています。

  3. 政治的メッセージ: 彼の作品には、政治的なメッセージが盛り込まれています。特に1960年代以降の作品では、共産主義や資本主義の問題点に焦点を当て、映画を通じて政治的な問題提起を行っています。

  4. 革新的な映像表現: ゴダールの作品は、革新的な映像表現が特徴です。例えば、カメラのアングルや移動を積極的に活用し、従来の映画とは異なる視点や映像美を追求しています。

  5. 登場人物の対話: 彼の作品では、登場人物の対話が重要な役割を果たしています。その対話は哲学的であり、時には抽象的で難解なものもありますが、観る者に考えさせる力があります。

これらの特徴により、ジャン=リュック・ゴダールは独自の映画スタイルを確立し、世界中の映画ファンや映画監督から高い評価を受けています。彼の代表作には、『勝手にしやがれ』『アルファヴィル』『気狂いピエロ』などがあります。

Q:『気狂いピエロ』という作品の魅力は?

A:

『気狂いピエロ』は、ジャン=リュック・ゴダールが1965年に監督したフランス映画で、彼の代表作の一つとされています。この作品の魅力は以下のような点にあります。

  1. 斬新な映像表現: ゴダールの映画に共通する特徴として、斬新な映像表現が『気狂いピエロ』にも見られます。従来の映画表現を打破し、カメラワークや編集を自由に操り、観客に新鮮な驚きを提供します。

  2. 独特なストーリー展開: この作品は、犯罪者の逃走劇を描いているが、従来のサスペンス映画とは一線を画した独特なストーリー展開が展開されます。物語が予測不能な展開を見せることで、観る者を飽きさせません。

  3. 寓話的要素: 『気狂いピエロ』には、寓話的な要素が含まれており、登場人物たちが人間の欲望や愛憎、善悪の相対性など普遍的なテーマを象徴しています。これにより、単なる犯罪映画を超えた深い魅力を持っています。

  4. 登場人物の魅力: 主人公のピエロ(ジャン=ポール・ベルモンド)とマリアンヌ(アンナ・カリーナ)は、ともに独特の魅力を持ったキャラクターです。二人の抱える葛藤や感情の揺れ動きが繊細に描かれ、観る者の心を引き付けます。

  5. サウンドトラック: 『気狂いピエロ』のサウンドトラックも、作品の魅力の一つです。映画に使用されている音楽は、シーンや登場人物の感情に合わせて様々な雰囲気を醸し出し、映像と相まって作品の世界観を引き立てます。

これらの要素が組み合わさり、『気狂いピエロ』は独特の魅力を持つ作品となっています。フランス新浪潮を代表する作品の一つであり、映画史に名を刻む名作として多くの映画ファンに愛され続けています。

2023年1月25日水曜日

chatGPT関連おすすめツール

chatGPTが話題になっている。今現在(2023年1月25日)での関連ツールの記事を集めてみた。

まずは本家サイト

OpenAI chatGPT

chrome拡張機能としてchatGPTが可能。Google検査検索とchatGPTの結果が並記される

ChatGPT for Google

YouTube動画をchatGPTでテキストでまとめる。DeepLと組みわせと日本語への翻訳可能

glasp

glasp本家サイト

2022年9月14日水曜日

邪宗門、異星の客、

ハインラインの『月は無慈悲の女王』を読んでいて、宗教、 思想系の本を調べた。

『月は無慈悲な女王』



『異星の客』

異星の客 (創元SF文庫) (創元推理文庫 618-3)


『異星の客』の思想性から高橋和巳『邪宗門』を思い出した。



邪宗門 下

宗教学者の島田先生の大本教の話。



出口王仁三郎の孫の小説家の書籍。大本教の歴史が書かれている。12巻。


大地の母―第1巻(青春の詩)



大地の母―第2巻(霊山の秘 )

人工知能で10億ゲットする 竹田人造

最近の人工知能、つまり、機械学習(強化学習系の専門らしい)に関係する小説。

作家は機械学習エンジニア。


人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル (ハヤカワ文庫JA)

AI法廷のハッカー弁護士

石田吉貞『隠者の文学』講談社学術文庫

 FIRE系の動画や書籍を読んでいる。また、年齢を上になるにつれ、自分と社会の距離感なども気になる。本書は、以前から読んで気にいったいた中野孝二『清貧の思想』と同様の思想の書籍である。 石田吉貞『隠者の文学』講談社学術文庫 隠者の文学―苦悶する美 (講談社学術文庫) 隠者と隠者...